ミノキシジルについてもっと知りたい
ミノキシジルって本当に生えるの?
こんな疑問に薬剤師がお応えします。
結論からいうと、ミノキシジル発毛剤は発毛効果ありと論文等で報告されています。
本記事ではミノキシジルという成分について、また本当に毛が生えるのかを論文等をもとに解説していきます。
- ミノキシジルという成分について
- 発毛効果は本当にあるのか(論文あり)
- 日本のミノキシジル製剤
ミノキシジルとは
ミノキシジルは薬の名前ではなく、成分の名前
ミノキシジルは薬の名前ではなく成分の名前です。
ミノキシジルが開発された当初、高血圧症治療の内服薬の成分として臨床試験を行っていたところ、副作用として患者に多毛が認められました。
そこからあらためて発毛剤の成分として開発が進められ、ミノキシジル配合の発毛剤が医薬品として承認されました。
海外では内服薬もありますが、日本で承認され発売されているミノキシジル製剤は外用薬のみになります。
ミノキシジルの効能効果
ミノキシジルの効能効果は下記の通りです。
壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防
引用:メディカルミノキシジル5%
上記の効能効果の通り、ミノキシジルには正常なヘアサイクルに戻す作用があり、発毛、育毛、抜け毛の進行予防に効果を発揮します。
ミノキシジルの濃度
日本ではミノキシジル1%と5%が承認されている
日本で承認を受け発売されているミノキシジルの濃度は「1%」と「5%」の二種類があります。
日本国内で承認を受けている最大濃度配合のミノキシジル製剤には発毛剤の元祖である「リアップやリグロ、メディカルミノキ等があります。
海外ではミノキシジル10%を超えるものもある
日本では5%までですが、海外では10%を超えるものもあります。
国内最大量である5%を超えるミノキシジル製剤の入手方法は基本的に個人輸入(海外産の薬を個人で購入する方法)になります。
主に海外の通販サイトや代理店などを利用することになりますが、オススメはできません。
その理由として、厚生労働省のサイトから一部内容を抜粋しました。
日本国内で正規に流通している医薬品、化粧品や医療機器などは、医薬品医療機器等法に基づいて品質、有効性及び安全性の確認がなされていますが、個人輸入される外国製品にそのような保証はありません。
日本国内で医薬品医療機器等法を遵守して販売等されている医薬品については、それを適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害が生じた場合に、その救済を図る公的制度(医薬品副作用被害救済制度)があります。 しかし、個人輸入された医薬品による健康被害については救済対象となりません。
引用:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ
上記からもわかるように、国内で世紀に流通している薬を適正利用して万が一重大な副作用が発生した場合は医薬品副作用被害救済制度の救済対象となりますが、個人輸入等の薬は医薬品副作用被害救済制度が対象外となります。
個人輸入の方が価格も安く手に入るこがありますが、もしも重大な副作用が起きた場合は国内で買うよりも多大な費用が発生する場合があります。
薬を正しく使ったにもかかわらず起きてしまった副作用で健康被害を受けたときに、その治療費などの給付を受けられる制度です。詳しくはこちら。
ミノキシジルの効果発現時期
添付文書に記載のある期間と、論文で報告されている期間を解説します。
【添付文書】ミノキシジルの効果発現時期
添付文書上では下記の記載があります。
【 ミノキシジル1% 】
毛髪が成長するには時間がかかります。効果がわかるようになるまで少なくとも6カ月間、毎日使用してください。
引用:リアップ 添付文書
【 ミノキシジル5% 】
毛髪が成長するには時間がかかります。効果がわかるようになるまで少なくとも4カ月間、毎日使用してください。 [ミノキシジルを5%配合した製剤の有効性は4カ月使用後から認められています]
引用:メディカルミノキシジル5% 添付文書
以上から、1%の場合は6ヵ月、5%の場合は4ヵ月から効果が期待できるということがわかります。
【論文】ミノキシジルの効果発現時期
複数あるうちの報告されているデータを三つ紹介します。(※いずれも5%ミノキシジルを使用したものになります。)
【1】
国外ではフォーム(泡)型のミノキシジルも使用されており、フォーム(泡)型5%ミノキシジルを用いた、352名の男性被験者を対象とした試験。
観察期間16週(4ヵ月)までのランダム化比較試験において、脱毛部1cm2内の毛髪数のベースラインからの増加は、プラセボ群が平均4.7本だったのに対し、フォーム(泡)型5%ミノキシジルは平均20.9本と、有意(p<0.0001)に増加したと報告されています。
【参考文献】
Olsen EA, Whiting D, Bergfeld W, et al: A multicenter,randomized, placebo-controlled, double-blind clinical trial of a novel formulation of 5% minoxidil topical foam versus placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men, J Am Acad Dermatol, 2007; 57: 767―774.
【2】
国内での1%、および 5%ミノキシジル液を用いた、300 名の男性被験者を対象とした試験。
観察期間24週(6か月)までのランダム化比較試験が行われ、脱毛部1cm2内の非軟毛数のベースラインからの増加は、1%ミノキシジル群が平均21.2本、5%ミノキシジル群が平均26.4本と、5%ミノキシジル使用群で有意(p=0.02)に増加したと報告されています。
【参考文献】
Tsuboi R, Arano O, Nishikawa T, Yamada H, Katsuoka K: Randomized clinical trial comparing 5% and 1% topical minoxidil for the treatment of androgenetic alopecia in Japanese men, J Dermatol, 2009; 36: 437―446.
【3】
大正製薬が販売しているリアップを使用したデータ。
リアップX5を使用した被験者の、1cm2当たりの総毛髪数の変化を調べた試験。
4週間で1.4本、8週間で19.0本、16週間(4ヵ月)で22.3本、24週間(6か月)で21.8本増えたという結果が出ています。
【参考文献】
大正製薬リアップX5プラスネオの発毛効果データ
ミノキシジルは発毛効果は本当?【論文あり】
ミノキシジルで本当に生えるのか、それを示す報告を前述した報告を含めいくつかピックアップしました。
ミノキシジルの発毛効果①
前述した大正製薬が販売しているリアップによる毛髪数の変化の報告は以下の通りです。
出典:大正製薬 ミノキシジル5%製剤の二重盲検比較試験結果
上記のデータはリアップ(ミノキシジル1%)とリアップX5(ミノキシジル5%)を使用した方の1cm2当たりの総毛髪数の増減をグラフ化したものです。
リアップX5(ミノキシジル5%)を使用し始めてから4週間後では1.4本とわずかな増加数ですが、24週終了時では21.8本と大幅に増加していることがわかります。
このグラフからもわかるように、初めの一ヵ月試して変化が感じられないと辞めてしまうのはもったいないです。
使用開始したら継続すること大切で、実際に添付文書でも効果を感じるまで少なくとも4ヵ月毎日使用してくださいと記載されています。
ミノキシジルの発毛効果②
2%または5%のミノキシジルで治療されたAGA患者を対象とした臨床試験では、発毛の増加(約30%)と脱毛の減少が示されています。
また、治療を中止した後、ミノキシジル群の毛髪の重量と数は、24週間でプラセボ(ミノキシジルを使ってない人)とほぼ同じレベルに戻ったと報告されています。
上記でも述べましたが、効果を実感するには継続することがと大切ということがわかります。
【参考文献】
Price VH, Menefee E, Strauss PC. Changes in hair weight and hair count in men with androgenetic alopecia, after application of 5% and 2% topical minoxidil, placebo, or no treatment. J Am Acad Dermatol. 1999 Nov;41(5 Pt 1):717-21. doi: 10.1016/s0190-9622(99)70006-x. PMID: 10534633.
ミノキシジルの発毛効果③
393人の男性(18〜49歳)が、ミノキシジル5%溶液(n = 157)、ミノキシジル2%溶液(n = 158)、またはプラセボ(n = 78)を1日2回適用した臨床試験。
48週目でミノキシジル2%よりもミノキシジル5%の方が45%多い毛髪再生を認めたという結果が出ています。
ミノキシジル5%がミノキシジル2%およびプラセボよりも明らかに優れており、その効果の大きさが顕著であることが分かります。
また、ミノキシジル5%を使用した男性は、ミノキシジル2%を使用した男性よりも治療に対する反応が早かったとも報告されています。
【参考文献】
Elise A. Olsen, Frank E. Dunlap, Toni Funicella, James M. Swinehart, Eduardo H. Tschen, Ronald J. Trancik. A randomized clinical trial of 5% topical minoxidil versus 2% topical minoxidil and placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men. J Am Acad Dermatol 2002;47:377-85. DOI:https://doi.org/10.1067/mjd.2002.124088
ミノキシジルの発毛効果④
男性型脱毛症の日本人男性患者300人(20歳以上)に、ミノキシジル5%(n=150)またはミノキシジル1%(n=150)のいずれかを24週間投与した臨床試験です。
脱毛部1cm2内の非軟毛数のベースラインからの増加は、ミノキシジル1%群が平均21.2本、ミノキシジル5%群が平均26.4本と、5%ミノキシジル使用群で有意(p=0.02)に増加したと報告されています。
男性型脱毛症の日本人男性の治療において、ミノキシジル5%がミノキシジル1%よりも優れていることを確認できます。
【参考文献】
Tsuboi R, Arano O, Nishikawa T, Yamada H, Katsuoka K: Randomized clinical trial comparing 5% and 1% topical minoxidil for the treatment of androgenetic alopecia in Japanese men, J Dermatol, 2009; 36: 437―446. PMID:19691748 DOI:10.1111 / j.1346-8138.2009.00673.x
ミノキシジル1%と5%ならどっち?
前述のグラフなどの報告からもわかるようにミノキシジル1%より5%のほうが高い効果を示しますが、1%濃度でも効果がまったくないわけではありません(※かゆみやかぶれといった頭皮トラブルが心配な方は、まずはミノキシジル1%から試すといった使い方もできます)。
薄毛治療のマニュアルとなる『男性型(AGA)および女性型脱毛症(FAGA)診療ガイドライン』では、脱毛症にミノキシジル外用を行うよう強く勧める(男性型脱毛症:5%ミノキシジル、女性型脱毛症:1%ミノキシジル)と記載されています。
AGA・FAGAガイドラインおよび様々な論文等の報告から考慮すると、ミノキシジル5%の方が発毛効果もあり、発毛を実感できる速さも優れていることがわかります。
以上から、効果をより実感してみたいという方はミノキシジル5%の利用検討してみてはいかがでしょうか。
【5選】日本で発売されているミノキシジル5%製剤
日本ドラッグストア等で発売されている代表的なミノキシジル製剤を4つ紹介します。
それぞれの商品の成分、価格、簡単なポイントをまとめています。
リアップX5プラスネオ | リグロEX5エナジー | メディカルミノキ5 | リグロEX5 | |
---|---|---|---|---|
有効成分 | ・ミノキシジル5% ・ピリドキシン塩酸塩 ・トコフェロール酢酸エステル ・l-メントール ・ジフェンヒドラミン塩酸塩 ・グリチルレチン酸 ・ヒノキチオール | ・ミノキシジル5% ・パントテニールエチルエーテル ・ピリドキシン塩酸塩 ・トコフェロール酢酸エステル ・l-メントール | ・ミノキシジル5% | ・ミノキシジル5% |
価格 | 7,800円 | 5,940円 | 4,980円 | 4,950円 |
特徴 | 発毛成分の他に頭皮環境を整えてくれる成分が配合されており、かゆみやフケが気になる方にオススメです。 | 発毛成分の他に頭皮環境を整えてくれる成分や、毛髪に栄養を補給する成分が配合されています。 | 発毛成分のみ。 | 発毛成分のみ。 |
有名なブランドでなくてもいいから発毛成分はしっかり入っていて安いのが欲しいという方は以下のランキング記事をご参照下さい。
以上が『ミノキシジルとは?発毛効果は本当?濃度は2%?5%?論文をもとに解説』についての記事でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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医薬品の効果の感じ方には個人差があります。
本記事はあくまでも合併症等もなく、心身ともに健康な状態である方向けの内容になっています。