薄毛治療「AGA・FAGAガイドライン」をわかりやすく解説

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薄毛治療「AGA・FAGAガイドライン」をわかりやすく解説

AGA・FAGAガイドラインってなに?
薄毛治療について知りたい

こんな悩みに薬剤師がお応えします。

本記事では薄毛治療のマニュアルとなる『男性型(AGA)および女性型脱毛症(FAGA)診療ガイドライン』について解説します。

医療に従事していない方向けになるべく分かりやすく解説していますので、ぜひご参照ください。

目次

そもそもAGA・FAGAガイドラインって?

AGA・FAGAガイドラインとは

そもそも診療ガイドラインてなに?

診療ガイドラインについて以下のように定義されています。

健康に関する重要な課題について、医療利用者と提供者の意思決定を支援するために、システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最適と考えられる推奨を提示する文書。

引用:診療ガイドラインとは

かんたんに解説すると、診療ガイドラインは、科学的根拠に基づいて最適と考えられる治療法が記載された文章です。

患者と医療者が治療法などについて意思決定する際の重要な判断材料のひとつになります。

※ガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限りません。

AGA・FAGAガイドラインは誰が作ってる?

AGA・FAGAガイドライン皮膚科の専門医らで構成されている日本皮膚科学会と毛髪科学研究会により共同で作成されています。

秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学講座、東京医科大学皮膚科学分野、北里大学医学部皮膚科学講座、上尾中央総合病院皮膚科など、大学医学部の教授や専門クリニックの院長ら計17名により構成されています。

以上のことから、専門医や医療関係者が中心となって作成されている権威性の高いAGA・FAGAのマニュアルであることがわかるかと思います。

誰かのブログやSNS等で見たこともない育毛剤や謎の治療で効果があったなどという報告を鵜呑みにするのは絶対にやめましょう。気になることは医師や薬剤師に相談することを推奨します。

AGA・FAGAガイドラインの目次

【 第一部 】

  • 背景と目的
  • 診療ガイドラインの作成手順
  • エビデンスの収集
  • エビデンスのレベルと推奨度の決定基準
  • 資金提供者、利益相反
  • 公開方法
  • ガイドラインの改訂
  • 免責事項

【 第二部 】

  • 疾患概念
  • 病態
  • 診断
  • 治療

本記事では、一般のAGA患者さんやFAGA患者さんが知りたい、正しい治療をするうえで知っておいて良いと思える【第二部】を解説していきます。

AGA・FAGAガイドラインの『疾患概念』

AGA・FAGAガイドラインの疾患概念

AGA・FAGAガイドラインではAGAとFAGAを次のように定義しています。

AGA(男性型)の定義

  • 毛周期(ヘアサイクル)のうち成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなる
  • 前頭部(額の生え際)や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなる
  • 最終的には頭髪が皮表に現れなくなる
  • 20代後半から30代にかけて著明になり、徐々に進行して40代以後に完成される
  • 日本人男性の発生頻度は、全年齢平均で約30%
  • 20代は約10%、30代約20%、40代約30%、50代以降40数%
  • 男性ホルモンが関与する
  • 遺伝が関与する

FAGA(女性型)の定義

  • 毛周期のうち成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなるのはAGAと同じ
  • 頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンが多い
  • 更年期以降に発症することが多い
  • 男性ホルモンの関与が説明できないこともある

AGAとFAGAで似ているところはありますが、別の病気として男性型と女性型に分けられています。

AGA・FAGAガイドラインの『病態』

AGA・FAGAガイドラインの病態

一般的に男性ホルモンは骨・筋肉の発達を促し、髭や胸毛などの毛を濃くする方向に働きます。

しかし、前頭部や頭頂部などの男性ホルモン感受性毛包においては逆に軟毛化現象を引き起こします。

その原因としてジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる、悪玉脱毛ホルモンが大いに影響しているといわれています。

DHTが毛乳頭にある受容体と結合し、髪の成長を抑制し、DHTの影響で髪の毛の成長周期が短くなり、毛が十分に成長する前に抜けてしまいます。

以上の段階を経て、前頭部や頭頂部の髪の毛が細く短くなり、最終的に髪の毛が皮表に現れなくなる男性型脱毛症を引き起こします。

AGA・FAGAガイドラインの『診断』

AGA・FAGAガイドラインの診断

男性型脱毛症の診断は、まず問診により家族歴、脱毛の経過などを聴き、視診により額の生え際が後退し前頭部と頭頂部の毛髪が細く短くなっていることを確認します。

日本では『Norwoodの分類』という分類法に加え、頭頂部の薄毛のみが進行する「Ⅱvertex」といわれるパターンが多くみられるため、このパターンを追加した『高島分類』といわれる分類法が広く用いられています。

男性型脱毛症の診断は比較的容易といわれていますが、ゆっくりと髪の毛が抜けていく円形脱毛症の派生した症状など類似している脱毛症も存在しているため、見極めるためにも早期の診断が大切であるとされています。

※女性型脱毛症の分類としては 『Ludwig分類』が用いられますが、より早期からの診断や鑑別診断を考慮した診断基準が大切であるとされています。

脱毛分類については髪コトさんの記事でわかりやすく解説されています。

AGA・FAGAガイドラインの『治療』

AGA・FAGAガイドラインの治療

治療推奨度を五段階に分類

AGA・FAGAガイドラインは世界中の研究論文を集めて解析し、その科学的根拠に応じてそれぞれの治療法の推奨度を以下の五段階に分けて評価しています。

A:行うよう強く勧める
B:行うよう勧める
C1:行ってもよい
C2:行わないほうがよい
D:行うべきではない

評価の見方の注意点として、推奨度Aの治療法が必ずしも推奨度Bより効果が高いというわけではないということです。

推奨度の高いAやBの治療法の方が、C1のものよりもたくさんの研究でより正確な科学的根拠が示されているということです。

つまり、「AとC1の治療法を比較して、Aの方が発毛効果が高かった」という訳ではありません

ただ、C2およびDに関しては行わない方がよいとされています。

14の治療法とその推奨度

AGA・FAGAガイドラインで紹介されている14の治療法とその推奨度は以下の通りです。

スクロールできます
治療法推奨度
フィナステリドの内服A:AGA(男性型脱毛症)
D:FAGA(女性型脱毛症)
デュタステリドの内服A:AGA(男性型脱毛症)
D:FAGA(女性型脱毛症)
ミノキシジルの外用A
植毛術自毛植毛術は、
B:AGA(男性型脱毛症)
C1:FAGA(女性型脱毛症)
人工植毛術はD
LEDおよび低出力レーザー照射B
アデノシンの外用B:AGA(男性型脱毛症)
C1:FAGA(女性型脱毛症)
カルプロニウム塩化物の外用C1
t-フラバノンの外用C1
サイトプリンおよびペンタデカンの外用C1
ケトコナゾールの外用C1
かつらの着用C1
ビマプロストおよびラタノプロストの外用C2
成長因子導入および細胞移植療法C2
ミノキシジルの内服D

治療推奨度「A:行うよう強く勧める」

有効性を示すエビデンスもあり、最も高いAランクがついているのは以下の三つです。

  • フィナステリドの内服
  • デュタステリドの内服
  • ミノキシジルの外用

ここでいう内服というのは飲み薬のことで、外用は塗り薬のことです。

基本の薄毛治療は以上の三つで、AGAクリニックでもよく見かける治療内容になります。

フィナステリドやデュタステリドは医療用の薬になりますが、ミノキシジルに関してはリアップなどといった市販薬にもあるくらい薄毛治療の定番です。

治療推奨度「B:行うよう勧める」「C1:行ってもよい」

Aランクほどではないですが、有効性を示すエビデンスも確認されているため、BおよびC1までは行ってもよいとされています。

治療推奨度「C2:行わない方がよい」「D:行うべきではない」

もしC2、Dランクに当てはまる治療を検討中、もしくは治療を受けてる最中の方は今一度検し直した方がいいかもしれません。

AGA・FAGAガイドライン上でもC2(行わないほうがよい)に関しては、有効のエビデンスがない、あるいは無効であるエビデンスがあるとされています。

さらに、D(行うべきではない)に関しては、無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがあるとされています。

ミノキシジルの内服は海外品・個人輸入品が安く手に入る通販サイトも見られますが、ガイドライン上は推奨していません。

また、万が一副作用等があっても副作用被害救済制度は適応になりませんので自己判断で服用するのは絶対にやめましょう。

AGA・FAGAガイドラインのまとめ

AGA・FAGAガイドラインのまとめ

AGA・FAGAガイドラインは専門医や医療関係者が中心となって作成されています。

AGA(男性型)とFAGA(女性型)は別の病態とされており、推奨される治療法も変わります。

AGA・FAGAガイドラインの推奨する(推奨しない)治療法は以下の通りです。

推奨する治療法

推奨度A:ミノキシジル外用、フィナステリド内服{AGA(男性型脱毛症)}、デュタステリド内服{AGA(男性型脱毛症)}

推奨度B:自毛植毛{AGA(男性型脱毛症)}、LEDおよび低出力レーザー照射、アデノシン外用{AGA(男性型脱毛症)}

推奨度C1:自毛植毛{FAGA(女性型脱毛症)}、カルプロニウム塩化物外用、 t-フラバノン外用、サイトプリンおよびペンタデカン外用、ケトコナゾール外用、かつらの着用

推奨しない治療法

推奨度C2:ビマプロストおよびラタノプロスト外用、成長因子導入および細胞移植療法

推奨度D:ミノキシジル内服、フィナステリド内服{FAGA(女性型脱毛症)}、デュタステリド内服{FAGA(女性型脱毛症)}

AGA・FAGAガイドラインは医療に携わっている方でなくとも比較的わかりやすい内容になっています。

薄毛治療に悩んでいる方は誤った情報を避けるためにもぜひ一度見てみることをおすすめします

男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインはこちら

以上を踏まえ、もしも薄毛治療でクリニック選びに迷われている場合、まずは推奨度Aの治療内容でコスパのいいところを探すのをオススメします。

他にはない治療法!などとうたってるところを興味本位で選ぶのはオススメできません。

クリニックフォアはAGA治療薬を提供しているクリニックのなかでも業界最安値級なので参考にしてみてください。

まずは推奨度Aで市販でも手に入るミノキシジルを試してみたいという方は、ミノキシジルが本当に生えるのかを解説した記事がありますので、よろしければご参照ください。

医療用の薬であるフィナステリドについても知りたいという方はこちらも参考にして頂けますと幸いです。

以上が『薄毛治療「AGA・FAGAガイドライン」をわかりやすく解説』についての記事でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

なにか気になることがございましたらお気軽にお問い合わせください。

医薬品の効果の感じ方には個人差があります。

本記事はあくまでも合併症等もなく、心身ともに健康な状態である方向けの内容になっています。

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この記事を書いた人

薄毛について情報発信をしている薬剤師です。薬剤師としての知識とドラッグストア勤務、薬局勤務で得た接客体験をもとに薄毛に関する有益な情報を発信します。根拠にもとづいた情報発信を心がけておりますので、他の口コミサイト等を過信する前に一読いただければ幸いです。

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